河童の潜む町に踏み入る
- S Mikaze
- 2023年5月27日
- 読了時間: 5分
こんにちは、Mikaze です。
今回は、岩手県遠野市に足を運んだ話をしようと思います。
岩手県は、青森県に続き、入り組んだ三陸海岸の絶景を見ることのできる自然豊かな場所です。その光景は、写真をバシバシ撮ったので皆さんにお見せするのも良いのですが…
私が岩手県に滞在した時の天候は生憎の雨だったり曇だったり。
パッとしない天気が続いておりました。
他の方のブログには、きっと天候も良く素晴らしい三陸海岸の姿が掲載されているでしょうし…と思いまして、岩手県で印象に残った遠野について語るに至ったわけです。
天気の悪い方がより怪しい雰囲気も漂って良い感じです。
さて、それではさっそく。
1. 緑深き道を進め

平泉より遠野に至る山道
まず、岩手県の山道を走って感じたのが森の緑の深さです。
私が今まで走ってきた東北とは違う、道に覆いかぶさってくるような木々に、地面の隅々まで埋め尽くすように生い茂った植物たち。
この新緑の道は、まるでジブリに出てくるような鬱蒼とした、どこか迷い込んでしまいそうな奇妙な心地もします。
そして道路の道幅が狭い!(笑)
車一台がすっぽり収まるような車幅の道路が多く、すれ違う時はちょっと怖いです。
中には一車線しかない蛇行した道路もありました。
広大な北海道から南下してきたので余計にそう感じるのかもしれません。
2. 河童伝説の残るカッパ淵

カッパ淵に辿り着いた
皆さんご存知かもしれませんが、『遠野物語』で知られているように、遠野には様々な民話があります。
その1つが河童です。
民話を伝える伝承園近くの駐車場に車を停め、そこから歩いて5分ほど、常堅寺というお寺が見えてきます。
そしてその門を通り抜け、裏手を歩いていくと見える小川の淵が「カッパ淵」です。
本当に川から出てきそうな怪しい佇まい。
ここにはカッパが多く住んでいて、人々を驚かし、いたずらをしていたといわれています。
淵にはキュウリを餌にした釣竿が垂れていました。
河童がこれに釣られて姿を現すかも…
側でじーっと見ていると、ポチャンと音がして水面に波紋が広がりました。
魚でしょうか?いや、河童かもしれない。
期待で胸が膨らみます。
それから観光客がチラホラと訪れ始め、物音はしなくなってしまいました。

カッパの置物が淵近くの乳神様の前に鎮座している
遠野の河童は顔が赤いといわれ、その伝説は数多く残っています。
「小烏瀬川の姥子淵の辺に、新屋の家といふ家あり。
ある日淵へ馬を冷しに行き、馬曳の子は外へ遊びに行きし間に、河童出でてその馬を引き込まんとし、却りて馬に引きずられて厩の前に乗り……」
遠野物語 58話
この淵には河童駒引きの伝説を伝える河童神様を祀っておられるそうです。
「川の岸の砂の上には 河童の足跡と云ふものを見ること決して珍しからず。
雨の日の翌日などは殊に此事あり。
猿の足と同じく親指は離れて人間の手の跡に似たり。
長さは三寸に足らず。」
遠野物語 57話
この伝説が残っているくらいですから、何かに見間違えたとしても怪しい生き物を見たというのは本当かもしれません。
淵の側に、「河童は美男美女を引き摺り込むので気をつけて下さい」という看板がありました。
皆さん気をつけてくださいね。

伝承館付近に戻りまして、近くのお食事処で売っていたカッパ焼きを食べました。
味はつぶあんとクリーム味があります。
筆者は無難なつぶあんにしました。
ひょっこりと顔を出しているようなカッパの顔が可愛らしいです。
生地がもちもちしていて、つぶあんもたっぷり入っていて美味しくいただきました。
3. 遠野物語を伝える伝承館

伝承園の中、菊地家曲り家
目的はカッパ淵だったのですか、ついでということもあり伝承園に行ってみました。
伝承園ではカッパの他にオシラサマ、ザシキワラシなど遠野に伝わる民話にまつわる場所があります。
それは、オシラサマを祀った御蚕神堂(オシラ堂)や、見ると幸せになると言われるザシキワラシの部屋です。
オシラサマにまつわる話は以下に伝わっています。
昔、ある農家に娘がおり、家の飼い馬と仲が良く、ついには夫婦になってしまった。娘の父親は怒り、馬を殺して木に吊り下げた。娘は馬の死を知り、すがりついて泣いた。すると父はさらに怒り、馬の首をはねた。すかさず娘が馬の首に飛び乗ると、そのまま空へ昇り、おしら様となったのだという。
(馬娘婚姻譚より)
正直ビビリの筆者は、オシラ堂に入った瞬間圧倒される色とりどりの願い紙でさえ、少し怖かったです。しかし、中々御目にかかることのできない代物なので、他の見物人に混じってそろりと見てきました。

お出迎えしてくれる猫
そんな怖さを紛らわせてくれたのは、園内を周回していた癒しの猫達です。
筆者が見た限り、3匹はおりました。
家の中や、庭の間を悠々と歩く姿が猫らしく勇ましいです。

帰り際に立ち寄った旅のパンフレット等が置いてある場所。
「わらしべ文庫」というのを発見しました。
なんと、読み終えた本を置いていく代わりに、読みたい本があったら持ち帰って良いらしい。
知らない人の置いていった本を手にとって、自分の本はまた誰かの手に渡って読まれるかもしれない。なんと素敵なシステムでしょう。
旅中の浪漫がありますね。
筆者は残念ながら本を持ち合わせていなかったので、ありがたく手に取った一冊を持ち帰りました。山田太一さんの『飛ぶ夢をしばらく見ない』という本でした。
これはのんびり何処かの公園で読もうかと。
それから、次回伝承園に訪れる機会があったなら、私の一冊を置いていくことを心に刻みました。
まとめ : 語り継がれる伝承

いかがでしたか?
妖怪と神の住まう遠野は、ひっそりとした田舎道。しかし、ユニークで個性的な怪しき者たちが出迎えてくれます。
遠野物語は昔からずっとこの地に伝えられ、今も地元の人によって息づいていました。
あなたももし此処に訪れたなら、摩訶不思議な体験ができるかもしれないですね。
それではここら辺で。またお会いしましょう。
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