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Entrekker
旅を愛するすべての人へ。
Entrekker は、実際の体験談を詩や言葉で綴ったブログです。
旅人のちょっとしたひと休みや、旅に出発するきっかけとして
ぜひ読んでみてください。
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成長
昔、よく近所の子と遊んでいた秘密の場所は 上から見ると僅かな影を落としていて 人々は豆粒みたい 子供の目線で見ていた大きなものたちは あまりにもちっぽけだった 大人になって 失ったものはその尊さ その代わりに築いたのは 無知で愚かな人間の礎 そして破天荒な道を行く...
S Mikaze
2022年9月16日読了時間: 1分


裏路地
薄暗い曇色の下 目を見張らなければ過ぎ去ってしまいそうな場所に 散りばめられた光があった 人の息づく看板が 誰かの羽目を外した笑い声が 肉のジュージューと焼ける音や、香辛料のスパイシーな香りが 私の頬に心地よい風を与えた 公に現れないものは多くあれど...
S Mikaze
2022年9月4日読了時間: 1分


雨宿り1928
雨粒が背中をおして 言われるがままに濡れた歩道を駆け抜けた 行き交う人もすれ違う車も せわしなく帰る場所へ向かっていく 窓から漏れる明かりは 夜の始まりを仄かに伝え どこかで聞こえるカラスたちの声は 夕食のスープを狙っているような気がする 視界を遮る電柱のすきまに 1928...
S Mikaze
2022年9月2日読了時間: 1分


サンドたまご
ハンサムなお兄さんが運んできた たまごサンドはたまごサンドじゃなくて サンドたまごだった 座ったら抜け出せないふかふかの椅子に どっしりと腰を落ち着けて 壁に埋め尽くされた謎のポスターを眺めていたら さながらロックミュージシャンのような心持ちでいたが...
S Mikaze
2022年8月10日読了時間: 1分


野宮神社
境内に入るより先に、大勢の若者が集うのを見た 唐草や花模様のそれは互いに顔を合わせ 嬉しそうに笑ったりはしゃいだり まるで私の入る隙間はない 進学の祈願だろうか、それとも片思いの終わりを願うのか ともかくその浴衣姿が様になっていて 時代を超えた建造物の中にぴったりと収まり...
S Mikaze
2022年8月8日読了時間: 1分


花
片隅にそっと顔を覗かせている その小さな放浪者は 瑞々しく身体を震わせ 風を断ち切って自分の居場所を見つける 恋に恋する蕾達や 過去に寂しさを残した細長い葉は 太陽の眩しさに圧倒されて 影をじんわりと地に映した あっという間に縮こまった身は その光を受け止めきれない...
S Mikaze
2022年8月7日読了時間: 1分


寄り道
少年が誰かの名前を叫ぶ こっちだよ、と少女が話しかける 色とりどりの白と黒 学生服がぱらぱらと走りまわって なんでもない脇道を闊歩する 帰り道だろうか? 彼らのあどけなさが遠目に見えて どこかに忘れていたものが蘇る あの頃の私 夢を抱いた私 白い靄が辺りを覆っても...
S Mikaze
2022年6月22日読了時間: 1分


庭園
鮮やかな緑は梅雨の訪れを密かに告げた 音は静かに柔らかな絨毯に染み込んでいく 植物たちはそこに共存し 主人の眺めたであろうその美しさを保っている 私は禁断の果実に触れるように その庭園に踏み込む時に息を潜めたが 誰もいないその空間に...
S Mikaze
2022年6月21日読了時間: 1分


竹林
さらさらと 笹が揺れて静かな道に呼び込んだ ゆっくりとしなって 爽やかな空気を先へと送らせる 間には日の光がちらちらと輝き 私の足が地をついて 見上げれば伸びた矛先が 天に向かう勢いでそびえ立っていた 枯れ落ちた笹の葉が空を舞う 桜の花びらに似た儚さが...
S Mikaze
2022年6月7日読了時間: 1分


羅漢像
数多の羅漢像が人間味のある表情を浮かべる中 一際微笑む老人の顔が私の目を奪って離さなかった 長い年月の経つその姿形は 苔にびっしりと覆われ、雨粒を遮る木陰の下で一層の貫禄を漂わせる 対してその表情は軽く朗らかで まるで生きているかのようだ 老人は埃まみれの私を見透え...
S Mikaze
2022年6月6日読了時間: 1分
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